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【シリーズ2/5】 LTVとダイレクトマーケティングの基本の「き」サブスクの原点

【シリーズ2/5】 LTVとダイレクトマーケティングの基本の「き」サブスクの原点

2022年4月20日

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このシリーズは、やずやグループ未来館の、データアナリスト:松田様と、同じく、吉村様より頂きました。
サブスクリプションの原点でもある、ダイレクトマーケティングについて、LTVや、顧客セグメント=顧客育成の考えかたについて
基本の「キ」について、事例を交えてご解説いただきます。
やずやグループ未来館では、各事業者の顧客構造や、顧客セグメントの推移から、コマース事業の健康診断を特別価格にて実施してくれています。
自社のこれまでの顧客構造や、2020年以降の事業展開について、どの顧客セグメントに課題があるかなど
今までには無い、気づきを得られる事業診断です。
一度、説明を受けたいなどのご要望がありましたら、弊社までお問合せいただくか、
こちらからお問合せくださいませ。
https://bit.ly/2PtvgaM
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2:顧客管理(寄り添い方)の考え方

顧客管理(寄り添い方)を企画・実施・分析する上でダイレクトマーケティングの基本的な特性、視点を共有します。

 

(1)新規獲得顧客からは利益は出る?出ない?

一般的には、EC通信販売では、新規に獲得した顧客からは利益は出ていないのは、皆さん共通の認識だと思います。
例:図1の例では新聞折り込みチラシで「新規顧客」を獲得した場合、
「新規顧客」を1人獲得するたびに3,667円の赤字が出ています。
すなわち新規顧客獲得費用(CPO:Cost per Order(本商品や定期コースの)受注1件あたりにかかった広告費:広告費÷(本商品や定期コースの)受注件数)は、1人当り3,667円である。
この1人当り3,667円の新規顧客獲得費用をかけた顧客に対してDMなどにより販促を行い獲得費用の回収を行っていきます。
実際に、ある健康食品の通信販売会社の新規顧客1人当り獲得費用は5,200円でした。テレビ広告で獲得を行えば獲得費用は1人当り2万円以上にもなり、一度獲得した顧客からはその後20万円以上の購買がないと利益が出ない構造になっていました。

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表1:新規顧客獲得費用と既存顧客からの利益の計算例

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(2)顧客は離脱(離反)してしまう。のは何故?いかに「見えるか」する?

このように多大な費用をかけて獲得した顧客も100%維持することはなかなか出来ないものです。「顧客は必ず離脱(離反)する」ことを前提に事業データを「見えるか」することがとても重要です。やずやグループ未来館の「顧客ポートフォリオマネージメント:以下CPM」では、今日(n日)より前日(n-1日:前日の顧客データを診断分析するため)から遡って1年(365日)以内に購買のある顧客を「稼働顧客」と定義することを推奨しています。「稼働顧客」のうち次の1年間の間に1度でも購買のある顧客の割合を「顧客維持率」と定義しています。
EC通販事業社の一般的な顧客維持率を、
F1から、F2 XX%
F2から、F3・F4・F5 XX%
F5から、F6・F7・F8・F9・F10・F11 XX%
F11から、F12  XX%
として1000人の顧客がF12までに成長するのは、〇〇人となります。

EC通販事業社の「顧客維持率」が50%ということは毎年半分の顧客が入れ替わっているということであり、30%であれば3分の2の顧客が毎年入れ替わっているということになります。費用をかけて獲得した顧客も半分以上が離脱していることになります。

モデル事例として、図2(a)は稼働顧客の数が年々減少していく様子を試算したものです。今年1,000人の顧客が1年後に79.2%、2年後に55.7%···と減少して、3年後には半分以下になっています。この「顧客維持率」の変容を「見えるか」することが如何に重要かを説明していきます。

顧客数の推移:例 図2(a)

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売上金額の推移:例 図2(b)

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(3)売上だけ見ていると顧客の減少に気付かない。のはなぜ?

図2(b)は図2(a)の顧客に対する売上金額の推移を示しています。

すなわち、今年の1,000人の顧客からの売上が100とすると、1年後の792人の稼働顧客からの売上は88になってしまいます。図2(a)と図2(b)より顧客数の減少よりも売上金額の減少の方が緩やかに推移して減少していることにお気づきになられたでしょうか。この要因は顧客の離脱が「新規獲得顧客」や売上金額(または、LTV)の少ない下位顧客(「よちよち顧客」、「こつこつ顧客」)から始まるからです。

当然のようですが、CRMで育成してきた顧客でも離反します。CRMで顧客との関係性を促進、醸成して、顧客関係を育成出来ていない、顧客ほど離反しやすいのは、みなさま自身の消費行動を思い起こして頂けばご理解頂けもの思います。

これらの要因で現れる現象を、顧客数値と顧客セグメントのマトリックスで、事業戦略データから絶えず見つめ直すことが経営=マーケティングの基本となることをご理解、ご納得いただけるかが重要ななってきます。

モデル事例として、表1に累積購買回数F別の顧客の購買特性の例を示しています。

最初に、売上金額は大きく減少しないのは、
購買金額が少ない顧客が離脱しても全体の売上に対する影響は少ない。
売上に寄与の少ない顧客から離脱が始まるためです。

それは、長期的に見れば、「よちよち顧客」 「こつこつ顧客」 「優良顧客」の基盤顧客が失われているということでもあります。
F12回以上の優良顧客の顧客維持率は94.1%で離脱する顧客は6%程度です。
一方F1回の新規顧客の顧客維持率は19.9%で8割の顧客が離脱しています。
優良顧客の離脱は少なく、離脱が多いのはFの少ない下位顧客です。
また新規顧客の年間購買金額は優良顧客17分の1(=72,966÷4,157)となっています。

表1:累積購買回数F別の顧客購買特性の例

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ポイント:

顧客の減少が先に始まり、顧客の数は売上金額の先行指標になっているので、売上だけ見ていると顧客の減少に気付かないことになります。

解決策:

事業戦略データから、顧客数の増減を「見えるか」をして、対策を打てるようにすることが重要です。

 

(4)売上寄与の高い優良顧客の育成には時間がかかります。

まずは、モデルデータからですが、

① 表1のF12回以上の優良顧客からの売上は稼働顧客の売上の56.3%を占めています。

② この半分以上の売上に寄与する優良顧客の取引年数は平均6.5年です。

すなわち、最初の購買からF12回以上の優良顧客になるためには平均で6年半の年月を要しています、顧客は最初の購買から年平均約2回の購買を繰り返して優良顧客になっています。(単品通販ではより期間は短くなる傾向があります。)

顧客が毎年購買を継続して最終的に「優良顧客」になる過程を管理することが顧客管理の役割であることがご理解頂けるかと思います。

 

(5)売上(トップライン)ではなく顧客の数を管理することが重要です。

これまで見てきたように新規獲得顧客からは利益はそう簡単には生まれないことはご理解頂けたかと思います。これを読まれている理由もそこにあると思います。利益(ボトムライン)は既存顧客の繰り返し購買からはじめて生まれるものです。

売上寄与の高い優良顧客を育成するには時間がかかります。
また顧客を100%維持することは不可能で顧客はいつか必ず離脱してしまいます。(要因・理由は、事業社がCRMで解決できることもあり、できないこともありです)
離脱した顧客に対して「新規顧客」を獲得するか、「離脱(離反)顧客」の復活で、顧客数の補填を行わなければ「稼働顧客」は減少します。
「離脱顧客」と「新規獲得顧客」のバランスによって顧客数を維持・拡大することが顧客管理の重要な役割に1つです。

これを売上金額で管理すると顧客の減少に気付かないことがあることは再度ご理解ください。売上が減少しているときには顧客はそれ以上減少しているとの認識を絶えず事業計画のメインのKPI(主要業績指標:Key Performance Indicalor)として共有・保有ください。

ポイント:

顧客管理の基本的な考え方は売上を見る前に顧客の数を管理することです。顧客がいなければ売上は上がりません。顧客が減少すればいつかは売上も減少します。

顧客管理の基本方針は顧客の数を減らさないことです。すなわち、顧客管理の主要業績指標(KPI:Key Performance Indicalor)は稼働顧客の数であり、主要リスク指標(KRI:Key Risk Indicator)は稼働顧客の数の増減であることがご理解ください。

解決策:

「稼働顧客」の数を、事業社のビジネスモデルに応じてある一定期間で設定し(直近1年:n-366を推奨)

各顧客セグメント
・F0・F1回顧客
・F2回顧客
・F3-n1回顧客
・Fn2-n3回顧客
・Fn4以上顧客

F2回顧客以降のF区分は別途検証の上セグメントを設定)別の絶対数の変動を「見えるか」するシステム・ツールを用いて、事業全体の健康診断を行い、組織全体でKPIを共有することが重要です。

 

CRMの重要なポイント要因である、顧客が減少しているのは何故でしょうか?

顧客・購入・配布データを、如何に分析(検索)・集計・抽出して、実施すべき施策を打つのか。

 

要因その1

(1) 「やってはいけないことをやっている」ことが、最大の理由、顧客が嫌がることをしています。

顧客管理の基本的な考え方を無視した施策で顧客の数を減らし、最終的に事業から撤退する事業社が、近年多々あります。
今までも、ご説明してきたとおり、ダイレクトマーケティングにとって「新規顧客」の獲得は最も費用がかかり、最も利益を圧迫する分野でした。
そのため、多くの事業社は売上の増加が鈍化したり、止まるとまずこの費用を削減しようとします。
(利益を短期的に増大させるには、コストカットが一番簡単便利な為だからです)
新規顧客の獲得を停止した時点では多くの利益が出ますが、やがて顧客の減少が始まり業績はますます悪化を傾向を示します。
そうなりと、更に費用を抑えるために、次の大きな費用として、DMなどのコミュニケーションコスト
(コンテンツ内容・コンタクトする顧客先・コミュニケーション回数)の削減を行います。
売上を落とさずに、コストを数量だけで削減しようとするので、DMなどのコミュニケーションは購買見込みの高い一部の「優良顧客」だけに実施・配布されることになります。
(当然の行動ですが、ロイヤルカスタマーだからもっともっと購入頂けるだろうと思いがちです。)
ダイレクトマーケティングでは基本的にEC通販事業社側からの、コミュニケーションとオファー訴求がなければ顧客の購買は基本発生しないものです。
(いつも同じコンテンツのECサイトへ喜んで訪れる顧客はいませんし。また同様にいつも同じカタログや同梱物(Inbox)を隅から隅まで見てくれる顧客も稀です。ので、コミュニケーションは重要です。)
DMなどのコミュニケーションが実施・配布されない顧客は切り捨て、見捨てられたことになり、F1回の新規顧客からF12回以上の優良顧客への道が閉ざされることになります。それとともに、優良顧客も、あまりにも多いオファーに辟易して、EC事業社への信頼を喪失していきます。
その結果、ますます業績は悪化し最後は撤退という事態を招くことは、これまでのご説明でご理解頂けるかと思います。

要因その2

(2) 顧客の増加に限界が訪れるのは、いつ、なぜ、どうしたら 良いのか。

EC通販事業を開始した当初は新規顧客の獲得も比較的順調に推移します(前提です)。多少知名度のある事業社ならばインターネット上にECサイトを開設するだけで10万件ぐらいの顧客リストが集まることもあるかも知れません。ところがある一定規模を過ぎると顧客が増加しなくなる時期が突然訪れます。

その原因の1つは

現在のビジネスモデルが通用しなくなることです。例えば、インターネットの受動的な方法による、オンラインマーケティング展開だけでは「新規顧客」の獲得にはある一定の限度があります。例えば、新聞やテレビなどのオフライン広告を交えた能動的な方法も併用する必要が出てきます。すなわちビジネスモデルの変更が必要になってきている兆候です。

2つ目は

規模に見合った「既存顧客」への投資をしないことです。顧客が増え売上も増加しているのに販促費用は従来どおりという場合が多々見受けられます。顧客リストの保有数が多くなれば販促費用も多く必要となります。(メール配信費用、SNSメッセンジャー配信費用、DM配送費用、またそれを実施するアドテクツールの従量制ライセンス費用などなど)。顧客の数が2倍に増えても絶対費用が同じであれば、半分の顧客しかコミュニケーションを維持できないことになります。コミュニケーションが出来ないことは顧客を維持できないということになります。

3つ目は

費用の投資配分の問題です。「新規顧客」の獲得が進み「既存顧客」が増えてくると、「既存顧客」の維持を考える必要性が高まります。いつまでも新規顧客の獲得に重点をおいてばかりしていても、「既存顧客」の離脱が多ければ「稼働顧客」は増加しないことは、実例を踏まえてご説明してきました。「新規顧客」の獲得から「既存顧客」の維持へのマーケティングの転換時期がきていることを察知して実行することがとても重要です。このようにEC通販事業にもライフサイクルがあり、いつかは顧客の増加に限界が訪れることとなります。今まで経験則から、年商レベルで1憶→10憶→30憶→80憶→100憶の壁が一般的にはあります。(図3)

図3:企業の成長モデル

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ポイント:

顧客セグメント別の顧客数の動向でマーケティングの転換期を知ることが重要。

解決策:

売上=顧客数の増加の壁を越えるために、顧客診断から導きだされる傾向を基に、情報系のシステム・ツールを活用してコミュニケーション+オファーの分析(検索)・集計・抽出を、セルフサービス型BI(情報システム部門に依存しなく、現場の各部門・担当者レベルが自らデータを収集・分析してレポートを作成できる仕組み)で、定型・非定型フォーマットレポート(マトリックス表など)を自分事かして実施できる体制を構築・提供して運用しています。これは、各全社でKPIツリーを共有することで、各々(商品開発、カスタマーセンター、フルフィルメントセンター、マーケティングの各部門など)が変化に気づき、成すべきことを共有することが、必然性があることを積み上げていることから生まれています。


やずやグループ 株式会社未来館 吉村典也
監修:やずやグループ 株式会社未来館 アナリシス部長 松田 芳雄

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